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文化庁のAIと著作権パブコメに意見を送りました


 文化庁が『「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関する意見募集の実施について』と、AI規制に関するパブリックコメントを募集しています。
 私荒野草途伸も、理系出身のシステムエンジニア兼政治活動家として、このパブコメに意見をお送りさせて頂きました。

 送った意見は文化庁で集約して公表されるはずですが、私自身のAI政策に関する見解を明らかにする良い機会でもありますので、送った文章の内容をここでにも掲載させていただきます。
(字数制限の関係で、実際に送ったものとは若干異なります。)

 尚、段落頭にある項番等は、添付資料として公表されている「AIと著作権に関する考え方について(素案)」中の項番に対応するものです。


(※大項目1,2については意見無し)

3.生成AIの技術的な背景について
(1)生成AIについて
(2)生成AIに関する新たな技術

・生成AIの定義は曖昧であり、生成AIという単語を基準に闇雲に制限すると技術的・社会的公益を損なう
 例えば車輌運行用の画像診断は一般的に分析AIに分類されるが、それを元に運行計画を提示するのは生成AIか? (※AIとしてはかなり昔から存在する部類である)、という分類上の問題が存在する。
・また、資料では生成AIの具体例としてテキスト生成をあげているが、実際には生成AIの利用法は画像や音声、果ては医薬品等の分子合成や半導体に書き込む電子回路、量子コンピュータの量子配列といった自然科学に隣接する分野にまで及んでいる
 これらには著作権で取り扱える範囲を超えているものもあるが、汎用的な生成AIはそれらの別なく取り扱う為、AIを著作権の枠組みで対処することに既に限界が出ていると言える。

(※大項目4については意見無し)

5.各論点について
(1)学習・開発段階

・著作権の適用如何に関わらず、AI学習そのものを規制するのは日本国憲法が保障する「学問の自由」の侵害に直結する
 また学習段階で制限をかけると個人や小規模事業者・団体は対応が難しくなり、AI学習が大きな企業や組織でしか行えなくなることから、文化的にも経済的にも不利益が大きい。国民の権利を大きく侵害することになる。
 よって、AI学習の規制、とりわけ学習行為そのものの規制は絶対に行ってはならない。あくまでも学習結果をどう取り扱うかという点で議論すべきである。
・また技術的な観点で言えば資料にも記載があるように、AI学習は、著作物のコピーでは無く読み取ったデータを抽象化し行列データとして保存するものである。これらは数理的に処理されるものであり、人為的な意思が入り込む余地は意図的なデータの選別を行わない限り不可能である。
 よって、データ学習そのものの規制は技術的にも大きな問題がある
・また、学習用データの選別についても、学習の偏向を排除する為にはより広範囲且つ大量のデータを用意する必要がある。このことから、データ選別に規制をかけることは、却って社会的公益を損なう出力結果を産み出す危険性がある
 個人情報などを違法に入手したといったケース以外で、選別を規制することは極めて慎重にならなければならない。
・逆に言えば、行列化でないただのデータコピーをAIと偽ってプログラムや学習モデルを配布する、謂わばAI詐欺と言える行為については、対策を考えなければならないと言える。

(2)生成・利用段階
(3)生成物の著作物性について

・3の2の生成AI技術についての項でも述べたようにAIが対象とするものは自然科学を始めとして広範囲にわたり、これらは著作物の域に収まるものでは無い
 自然科学の分野(論文では無く自然科学的な成果)に著作権が及ぶことは著作権の定義からして自己矛盾であり、このことからも、AIならびにAI生成物を著作権の枠組みで扱うことには根底から無理がある。

・海賊データの問題が取り沙汰されるが、あくまでもAIに出力された生成物を人がどう取り扱うかによって判断されるべきである。違法データを入手することによる著作権侵害の有無については、AIとは全く関係の無い話である。
 AIに関わらない現在でも存在する実例として、フォトレタッチソフトを例に挙げる。フォトレタッチソフトは一般的に自作のイラストを作成する為に使われるが、他人の画像データを貼り付けて加工することも可能である。加工したデータを原著作権者の許諾無く外部に公開した場合は著作権侵害となるが、それを以てフォトレタッチソフトを規制すべきとするのはナンセンスである。これと同じように考えるべきである。

(4)その他の論点について
6.最後に

・上記で述べたような理由から、生成AIその他のAIを問わず、原則としてAIを規制すべきでは無い。そもそも論としてAIは人が使う為の技術の1つに過ぎず、AIだけを以て著作権の枠組みで議論することの妥当性について大きな疑義を投げかけねばならない
 仮に規制が必要な事項があるにしても、それは生成者が人かAIかの別なく議論されねばならない
 AI特有の問題であれば、それはAIの特性を踏まえた新法によって規制または権利付与すべきであり、著作権法を適用するのは筋違いである。
 例えば、作風侵害の問題については別途考慮しなければならない。但しこれはAIの有無とは関係なく以前から存在する。
 しかし、これは著作権の定義上、その枠組みでは解決不能である。よって、著作権制度とは別の新しい知的財産権保護の枠組みを考案していかねばならない
 このような制度は他国にはまだ好例が無いが、だからこそコンテンツ産業が発達した日本が率先して制度作りの先鞭を付けるべきである。

 長いので概要をリストアップすると

  • AI学習そのものを規制することは「学問の自由」の侵害に直結するため、学習行為そのものの規制は行ってはならない。
  • 生成AIの利用法はテキスト生成だけでなく、画像や音声、自然科学に隣接する分野にまで及んでいる。自然科学は明らかに著作権の対象外である。
  • AIが対象とするものは広範囲にわたり、これらは著作物ではない場合が多いため、AI生成物を著作権の枠組みで扱うことには根底から無理がある。
  • AI特有の問題であれば、それはAIの特性を踏まえた新法によって規制または権利付与すべきであり、著作権法を適用するのは筋違いであるとされている。
     著作権とは別の新しい知的財産権保護の枠組みが必要。

 、となります。

 政府に送るパブコメですのでこのような概要になりますが、偽らざる本音を一言に要約致しますと

「AIを政治や行政が規制してんじゃねえ!」

 という話になります。

 但し、荒野草途伸は文化の担い手たるクリエイターを軽視しているわけでは無く、彼の人達の懸念も一応は理解しているつもりです。
 ですので、作風・アイデアの保護制度の必要性を従前から説いています。
(参考:デジタル時代の新技術と権利 、本拠地blogより転載)

 素案を読み込んで頂ければわかるのですが、本来両論併記にしなければならない論点について、いわゆる業界寄りの意見のみが本文に記載され、反論は注釈扱いになっている、という箇所が散見されます。
 自民党と繋がった業界団体が「ロビー活動」(※日本にロビー活動という制度はないのですが、一部の業界屋やその組織内議員がそう呼称しているようなので)を行った結果であることは想像に難くありません。

 特定業界の利権のみを優先し、広く国民の為の施策をしない政治体制と、荒野草途伸は今後も戦ってまいる所存です。


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