iイスラム金融
まず、Xさんは、6万円弱、具体的金額にする為に仮に58,900円としようか。この値段で、iの付く超有名な音楽プレイヤーを購入した。
購入の際には、電子マネーedyとクレジットカードを使用した。
この、iの付く超有名な音楽プレイヤーを、すぐに業者に売り払った。売値は5万円丁度。
5万円は銀行口座に振り込まれ、Xさんはいつでも自由に使える状態になった。
業者は新品のiの付く超有名な音楽プレイヤー数個を入手した。この時価は不明。
edyのチャージに必要な料金や、クレジットカードの売掛金は、Xさんが後日責任を持って支払わなければならない。その合計金額は58,900円。
edyや家電店のポイントが2,000円程付いている。これは現金化できないが、Xさんが本来の目的通り使うのは自由。
つまりXさんは、今5万円を手にする代わりに将来的にカード会社に58,900円を支払わないといけない。8,900円の利息が付いているのと一緒だ。単純に利率を計算すると、17.8%。
これが普通にお金を貸している場合だったら、返済期間に応じて年利を計算し直さなくてはいけなくなる。
が、このやりとりは法律上「商取引」になるので、利息制限法など金利を規制する法律の規制は、受けない。
そう。ここがまさに、イスラム金融と同じ理屈になるのである。
実際のイスラム金融では、5万円だのiの付く超有名な音楽プレイヤーだのという、そんなレベルでは無いだろう。もっと規模が大きくなるはずだ。
また、実務面では、取引そのものをイスラム法学者が事前審査してイスラム法に反した取引は却下する、という仕組みになっているらしい。
が、取引そのものの基本的な考え方としては、これと同じである。と、断言してかまわないと思う。
欧米からはなかなか理解されないイスラム金融が、日本の金融機関は割とすんなり理解して既に進出を始めている。それは、日本に既に同じような仕組みの金融市場が存在していて、そこのノウハウを持って行けば割とすんなり融資業務を始められる。そういう事情もあるのかも知れない。
日本はキリスト教国では無いし、歴史的にイスラム圏に対しては中立の立場を取ってきたことが多かったので、信頼されやすいというのももちろんあるだろう。
ただ一点懸念点として。この「イスラム金融」というのは、あくまでイスラム教の教義、もっと踏み込んでいえばイスラム教徒の倫理観・道徳観に根ざした制度だ、ということである。似たような制度として「喜捨」というのがあるが、これは欧米だと寄付文化という形で社会に根付いているのに対し、日本にはそういう文化は全く無い。それどころか生活保護受給者を保守政治家がいじめて楽しんでいるような、そんな文化だ。
そんな日本人が、ひたすら利益追求を目当てにイスラム金融事業を展開していったら。間違いなく、イスラム圏の猛反発を食らうだろう。
そこだけはどうか気をつけて、事業展開して貰いたいものだ。折角の、日本がアドバンテージを取れる数少ない分野なのだから。
--------------
]]>
Edy, お金, 人生, 参考文書, 国際, 宗教, 文明, 沖縄, 生活, 社会, 経済