自民党・公明党の与党は休息義務づけに極めて消極的であったが、国民の声に押された野党、特に左翼政党はこれの導入を強く主張し、最終的に「努力規定」として盛り込まれるに至った。 ざっくり言うと、過労防止には休息が必須とする野党と、休息なんて必要無い際限なく働けという与党が、対立したのである。与党の領袖は、当然の事ながら内閣総理大臣にして自民党総裁の、安倍晋三であった。 この思想が今回もろに安倍晋三自らの問題としてふりかかった、と言えるだろう。天に向かってブーメランを投げたのかどうかは知らないが。 安倍晋三は第一次政権の時にも、「サラリーマンは残業代欲しさに残業をしている」との思想の元にホワイトカラーイグゼンプションなる労働者定額使い放題制度を導入しようとして、国民から猛反発を食らった。結局この思想は何ら変わっていない、と見た方がいいだろう。 無論、安倍晋三だけでは無い。”働き方改革”法案でも、当初は裁量労働制の拡大などの労働者定額使い放題制度の導入が企図されていた。企んだのは勿論、自民党である。後押ししたのは、自民党を支持する者どもである。 休まず死ぬまで働け。そういう思想の持ち主が、自由民主党という政党であり、その支持者なのである。 それが改めてはっきりしたのが、今回の安倍辞任劇と言えるだろう。犠牲になったのが安倍晋三本人だというのが何とも皮肉な話である。 新総理が誰になろうとも、次の臨時国会冒頭で解散総選挙になる可能性は極めて高い。その時に、この過労防止をはじめとする労働問題は、果たして争点になるだろうか。 それとも、愚かなる日本人は、またしてもこの問題から目を背けるのだろうか。 ]]>